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プロフィール
【名前】
鈴木公明
【職業】
東京理科大学 知的財産専門職大学院 教授
東和知的財産研究所 所長
弁理士
【プロフィール】
1990年東京大学卒業、キヤノン(株)知的財産法務本部を経て特許庁入庁。制度改正審議室、特許・実用新案審査、意匠審査等を歴任後、2005年より現職。 2006年より不正競争防止法違反物品水際対策懇談会委員。 2007年弁理士登録。 2009年より東和知的財産研究所所長。 著書に『知的財産のデューデリ』(編著)、『特許価値評価モデル(PatVM)』(共著)、『知財戦略の基本と仕組み(編著)、『知財評価の基本と仕組み』、『IT知財と法務』(共著)、『知的財産の価値評価』、『工業所有権法逐条解説』(部分執筆)など。 論文、講演多数。
【所属】
東京理科大学/東和知的財産研究所
【性別】
男性
コラムカテゴリ
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2013-09-27 (Fri)
企業の競争力強化に資する イノベーション(1)
はじめに

 従来、イノベーション論は技術革新を中心に議論されてきましたが、自前主義による垂直統合型ビジネスモデルが行き詰まりに直面する中、近年、「デザイン思考」によるイノベーションが注目されています。このコラムでは数回にわたり、イノベーションについて技術中心の戦略論を背景とする知的創造サイクルの考え方から、競争ルール自体を変える事業構想サイクルの考え方に至る推移を概観した後に、イノベーションの新しい手法として注目されているデザイン思考を紹介し、実際の技術開発プロセスとの関係を示します。

1.技術中心のイノベーション観

 1930年代以降イノベーションを経済学的観点からとらえたシュンペーターは、イノベーションと起業家精神とが経済発展をもたらすと論じました。そのなかで、イノベーションは、@新製品・サービスの創出、A新生産方式の創造、B新市場の創造、C新資源の獲得、およびD新組織の実現の5類型に分類されており、イノベーションとは必ずしも「技術」に関する事項に限られるものではありませんでしたが、20世紀におけるイノベーション論では、「@新製品・サービスの創出」と「A新たな生産方式の創造」において必要な新技術が産業社会に与えるインパクトの大きさ故に、特に技術に注目が集まっていました。

 シュンペーター以降、基本的に市場化され得る発明こそがイノベーションであるとされ、その性質やインパクトの大きさにより、持続的イノベーションと破壊的イノベーションなどと区別されてきました。この視座は、1990年代のクリステンセンに承継され、既存市場において比較劣位の技術(破壊的技術)に基づく商品が、構造の単純さ、低価格、使い勝手の良さなどを優位性の糧として、市場上位に食い込み得ることが示されました。また、すでに成功している企業は既存の顧客関係、利益構造から脱却できず、そのような破壊的イノベーションの評価または実践に失敗する「イノベーションのジレンマ」に陥ること等が論じられましたが、ここでもイノベーションとは基本的に技術革新に関する概念として扱われてきました。

 従来のイノベーション論の多くは、基本的に技術革新論であり、そのマネジメント論は基礎研究の成果、技術開発成果を市場化するための技術経営論に力点が置かれていました。

 技術革新に力点を置いたイノベーション論においては、20世紀の終わりに、技術革新について「中央研究所の時代の終焉」が唱えられました。すなわち、自前主義で新技術を開発し、マーケティングによって確実に売れる商品企画を見極め、付加価値の高い製品を市場に送り出して利益を上げるという、技術革新から投資回収までの意思決定が計画的で一方向に流れていく、垂直統合モデルによるビジネス展開に陰りが見えるようになってきたのです。

 そこで登場した理念が、オープンイノベーションです。企業の境界を超えて、自社の内外を問わず有用な物的・人的資源、とりわけ大学や研究機関を活用することにより、最適な資源配分のもとに技術革新を起こそうとする考えです。

 近年、日本が技術開発力に優れ、特許を大量に取得しながら、国際ビジネスの場では欧米企業の後塵を拝す事態が問題視されており、これに対する解決策として、開発した新技術を手に「どうやって商品化するか」という垂直統合的自前主義、すなわち伝統的技術経営論の発想から離れた、新たなビジネスモデル構築の方法論や技術・知財マネジメントの手法が模索されています。
 
((2)につづく)
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